将軍地蔵尊保存会 会長 神田晃治さんインタビュー

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将軍地蔵尊保存会 会長 神田晃治さん

 

~お地蔵さんが見守るまち・上本町~

もうすぐ「地蔵盆」。

新しいビルと古い住居が混在する町のあちこちでお地蔵さんが穏やかに微笑んでいます。

天王寺区内には32体(平成17年区役所調べ)のお地蔵さんが地域の人々に守り継がれています。

「地蔵盆」とは、地蔵菩薩の縁日(毎月24日)のうち、特にお盆に最も近い旧暦7月24日に当たる日(現在は8月23日と24日)に路傍のお地蔵さんを子どもたちが供養する行事として主に関西を中心に受け継がれている文化行事です。

天王寺区の五条地域にある「将軍地蔵尊(しょうぐんじぞうそん)」は、徳川時代の天保14年(1843年)に町人たちによって建立されたお地蔵さんです。長きにわたり人々とともにこの町を見守って来られましたが戦争で被災。昭和28年(1953年)に現在の場所に移転されました。

 


一般的な将軍地蔵は「勝軍地蔵」と呼ばれ、鎧兜(よろいかぶと)に武器を持った勇ましい姿で武将に信仰される地蔵尊です。これに対してこの地の将軍地蔵は鎧の上に衣をまとい、剣ではなく宝珠と錫杖を持たれた姿をされていて、火事・雷よけや子どもの守護のため建立された他に例を見ない珍しいお地蔵さんとして知られています。

 

 

~“地元愛”でつながる地蔵盆~

将軍地蔵さんを後世に守り継ぐ活動をされている将軍地蔵尊保存会の会長、神田晃治さんにお話を伺いました。保存会は地蔵尊が設置されている地域の11町会で構成され、毎年8月23日と24日には地域の方々の協力を得て「将軍地蔵の子供盆踊り」を開催しています。

地元中学校のPTA会長をされていた当時、地域で暮らす人々が出会う場作りが必要と考えた神田さんは、地蔵盆を地域の人々が集い、絆を深めるきっかけにしたいという想いで協力を呼びかけられました。以来、小学校を会場に新旧のPTA役員さんや地域の人々による模擬店が並び、毎年1000人もの親子が訪れる盛大な地蔵盆が開催されています。

 

地蔵盆当日に手渡される「お守り」にもこんなお話があります。このお守りの中には将軍地蔵の
姿をかたどった刻印が押され清められたお札が入っています(写真)。このお守りは子どもたちの健やかな成長を願って毎年、地蔵盆の日に手渡されています。

 

 

 

~お地蔵さんに守られて~

神田さんにお地蔵さんにまつわる様々なエピソードをお聞きしました。

ある日、お地蔵さんの前の通りで具合が悪くなって倒れた女の子。幸運にも地元の方がすぐに見つけて病院へ。そこでも偶然、大きな手術で居合わせた有名な医師のおかげで事なきを得たというお話や、当時の医学では回復が見込めない状態だった子どもを持つ親御さんが、お地蔵さんのご利益を耳にし一心に願掛けをされたことで、その後奇跡的に回復したというお話など、子ども達が将軍地蔵さんに守ってもらった話が多く残されているそうです。

新興住宅地ではあまり見かけないお地蔵さん。この町にはたくさんのお地蔵さんが人々の暮らしと子どもたちの成長をじっと見守ってくださっています。

地蔵盆には近くのお地蔵さんにお参りし、心静かに手を合わせてみてはいかがでしょうか?

 

 

・将軍地蔵の子供盆踊り

2017年8月23日(水)、24日(木) 市立五条小学校校庭
午後6時30分~10時(子どもは9時まで、8時30分から子ども全員にお菓子配布)
雨天時:盆踊りは中止、模擬店は開催。

 

=== 将軍地蔵尊(しょうぐんじぞうそん)===

大阪市天王寺区上本町8-9-14
地下鉄「四天王寺前夕陽丘」から400m、近鉄「大阪上本町」から800m

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