映画「いつか君の花明かりには」上映会&フィルムトーク報告&参加者の声を公開しました

イベント

2019年3月9日(土)、大阪市阿倍野区民センターにて開催しましたママコミュ!ドットコム主催の防災イベント
災害弱者・要支援者と一緒に考える「おおさか未来の防災」防災啓発ドキュメンタリー「いつか君の花明かりには」上映会&フィルムトーク会場にお越しいただいたみなさんから、防災への想いや映画の感想などをお寄せいただきました。

画像をクリックするとPDFファイルが開きます。

映画に登場された人々
🔹東日本大震災による大津波が襲った岩手県陸前高田市で災害の教訓を後世に残す活動をされている桜ライン311代表の岡本翔馬さん

🔹宮城と熊本で二度も大地震を経験し、防災の大切さを歌と共に伝えている防災士の柳原志保さん
🔹地域の災害リスクを中学生の視点で見つけ出し、地域と共に防災力向上に取り組む徳島市立津田中学校 防災学習倶楽部のみなさんなど、全国各地で防災に取り組む人たちの想いを小川光一監督山崎光監督が映像を通して伝えてくださいました。
(映画についての情報はこちら

 映画の後の小川監督の講演と、様々な形で災害を経験された人たちによるフィルムトークを通して、ここ大阪で近い将来起きると言われている大規模地震に備えて、わたしたちが個人として地域の一員として防災とどう関わっていけるのか、その時に災害弱者・要支援者となる人たちと共に助かるためには何が必要なのかについて一緒に考え、防災への想いを共有する時間を持ちました。

登壇者・プロフィール・当日の発言要旨(要約)
🔹小川 光一さん(おがわこういち:映画監督、作家、日本防災士機構認証防災士)
1987年東京生まれ。作家、映画監督。2009年、アフリカ・ウガンダ共和国に対する支援活動を機に国際協力の世界へ。2010年、エイズと共に生きる人々の姿を追ったカンボジアドキュメンタリー『それでも運命にイエスという。』を公開。2011年、東日本大震災を受けて、岩手県陸前高田市を中心に支援活動に奔走。2014年、陸前高田ドキュメンタリー映画『あの街に桜が咲けば』を公開。全47都道府県で上映を行い、2万人の観客動員を記録。2018年、防災啓発ドキュメンタリー映画『いつか君の花明かりには』を公開。全国各地に防災の大切さを訴え続けている。

小川さん:世の中の人みんなが防災に関心があるわけではない。防災よりも大事なものがある、それは正直な意見。だけど、災害で大事なものを失くしたことがある自分たちは防災の大切さを伝える使命がある。桜が咲いた時に周りがほんのりと明るくなる”花明かり”のように自分が周りの人に防災の大切さを伝えていける存在になってほしい。そんな想いを映画に込めた。

🔹森松 明希子さん(もりまつあきこ:東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream 代表)
兵庫県生まれ。福島で東日本大震災を経験。避難所生活を経て2011年、2児と共に大阪へ母子避難。福島原発事故による放射能汚染から逃れ、「避難者」となる。自らの意思で危険から逃がれることが当然の権利として認められる社会の実現を目指して「東日本大震災被災者の会 Thanks & Dream」を設立。2018年には国連人権理事会本会議で被災者・避難者の権利の確立を訴えるスピーチを行った。

森松さん:東日本大震災を福島の自宅で経験した。幼い我が子と福島にとどまり放射能の恐怖に怯えながら暮らすより、「逃げる」ことを選んだ。震災から8年目を迎えて、福島で暮らす夫と家族が一緒に暮らせる日を願いながらも子どもたちの命と健康を守るのは母親の務めであるという信念で母子避難生活を続けている。この春にはヨーロッパ各国の学校を巡り、日本の現状を伝えるために母子3人で渡欧予定。

🔹養父 正子さん(やぶまさこ:音楽室さくら咲la 代表 ・日本防災士機構認証防災士)
大阪市在住。2000年から図書館で読み聞かせボランティアの活動を始める。2013年、ストリートオルガンをメインに音楽活動を開始。音楽専用ホール『音楽室さくら咲la』の運営を通して全国の音楽家に活動の場を提供している。サッカークラブ「セレッソ大阪」をこよなく愛する「セレ女」であり、大阪の花、セレッソ大阪の花である『桜』への想いを岩手県陸前高田市で活動する「桜ライン311」に繋げて支援を続けている。

養父さん:地元のサッカークラブ「セレッソ大阪」のシンボルである桜から岩手県で津波到達ラインに桜の木を植え、後世の人たちに災害の恐ろしさを伝える活動をしている「桜ライン311」を知った。私の場合はこういうきっかけで東北の被災地支援に関わることになったが、今日ここにいる人たちも日常生活の中に防災との関わりを見つけてみてはどうか。

右から:大舩さん、小川監督、養父さん、森松さん、出水くん

🔹出水 眞輝くん(いずみまさき:日本防災士機構認証防災士 小学5年生)
大阪市内の小学校に通う5年生。まちづくりの仕事をしている父の影響で防災士の存在を知り、『命を守る仕事』への夢の第一歩として防災士試験に挑戦。2017年に史上最年少タイの9歳で合格。全国最年少防災士としてメディアや防災講演で活動中。市内各区の災害リスク分析や家庭でできる防災に役立つ実験をYoutubeで発信。大阪の未来を担う子どもの視点で防災の大切さを伝えている。

出水くん:防災は大人だけがするものじゃないと僕は思っている。小学生は地域にいる時間が長いし、学校が違う友達とも公園に行けば仲良くなれるし、見守り隊の人とも毎朝挨拶している。地域の人の顔を覚えること、地域の人に自分を覚えてもらうことは子どもにだってできる。災害が起きた時には地域の人みんなで助かろうと思う。

コーディネーター
🔹大舩 一美さん(おおふねかずみ:一般財団法人大阪市コミュニティ協会 都市コミュニティ研究室 研究員、社会福祉法人産経新聞厚生文化事業団 元専務理事)
産経新聞社を定年退職後、フジサンケイグループの社会福祉法人産経新聞厚生文化事業団の専務理事に就任。障碍者支援施設の運営、災害時救援金募集などに従事した。その後、大阪市に誕生したTSURUMIこどもホスピスの館長を経て、現職。

大舩さん:東日本大震災当時、義援金を取りまとめる仕事をしていた。ある老女が寄付を申し出てくれた。自分の生活を顧みず、困難な立場にある人たちを助けたいという強い思いに触れ、胸が熱くなったことを思い出した。災害からの復興は被災地の人たちだけの問題ではなく、こうして社会全体で支援の気持ちを伝えることも大いに意義がある。

 


映画では東日本大震災の様子と現在の町の姿が対比して描かれ、8年の時の流れを感じました。
もう8年、まだ8年。大阪でも、親戚や親しい人を失った人も多く、様々な想いを胸に映画をご覧になった方も多かったと思います。

ママコミュ!ドットコムでは、この映画の存在を知った昨年初めから大阪での上映会開催に向けた準備をしてきました。
大阪府福祉基金をはじめ、行政、団体、個人のみなさまのご支援と励ましのおかげでこの日を迎えることができました。
映画とフィルムトークを通して伝えたかった「防災は他人ごとではない」ということを会場いっぱいのみなさんと共有できたことをとても嬉しく思います。
小川監督、登壇者・コーディネーターのみなさん、ありがとうございました。

大阪にいつか大きな災害がやってきた時に「悔しい」思いをしないよう、それぞれの立場、視点で備えていきたいものです。
(ママコミュ!ドットコム 出水眞由美)

 

イベント